

第21回 日本冠疾患学会学術集会 ランチョンセミナー 4 |
共催:第21回日本冠疾患学会学術集会/トーアエイヨー株式会社 |
プログラム
抄 録
| 【座長のことば】 |
大阪市立総合医療センター 土師 一夫 先生
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薬剤溶出性ステント(DES)が経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の主流を占めるようになって冠血行再建術の選択に変革が生じている。多くの施設で冠動脈バイパス術(CABG)の適応例が減少しているという。CABGの主対象である左主幹部病変にもDES
が適用され始めている。DESの亜急性期・遠隔期の血栓予防に有用な抗血小板薬クロピドグレルが保険認可されて、この傾向は今後さらに拍車がかかるのであろうか?
PCIは有意狭窄病変の治療手段であり、患者の症状改善には有用であるが、心筋梗塞症および心臓死の予防手段としての有用性は確立されていない。現状ではむしろ否定的である。多くの心筋梗塞症は非有意病変のプラークが崩壊して発症することが知られている。しかし、非有意病変にPCIを適用するという非現実的な治療法が是認されたとしても、PCIによる治療法に限界があることは明らかである。CABGでは有意狭窄病変遠位にバイパスされるため、病変近位部の非有意病変のプラークが崩壊しても心筋梗塞を発症しないことになる。本邦で増加しつつある血液透析が必要な慢性腎不全や糖尿病には、DESの適応が困難または適応されても遠隔期の予後が不良な例が少なくない。CABGの活路は十分に残されていると思われる。
本ランチョンセミナーでは、PCIとCABGに習熟し、その適応に高い見識を有する伊藤先生と高梨先生に循環器内科と心臓血管外科の立場から、DES時代における冠血行再建術の選択について各自の考えをのべていただき、聴講者の今後の参考にしていただきたいと思っている。
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| DES時代における冠血行再建術の選択 〜内科医の立場から〜
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| 大阪市立総合医療センター 循環器内科 伊藤 彰 先生 |
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経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は冠動脈バイパス術(CABG)に較べ比較的簡単に適用でき、低侵襲であり(全身麻酔、開胸、体外循環が不要)、その結果として入院期間が短いという大きな利点がある。CABGについても人工心肺を使用しないオフポンプ CABGが普及して低侵襲化しているが、PCIには及ばない。PCIの弱点としては@再狭窄に伴う再冠血行再建術施行がCABGと比較して高率であること、APCI不適病変(瀰漫性病変、小血管など)の存在、B遅発性ステント血栓症、C新規病変に伴う狭心症、心筋梗塞の再発がある。@についてはDESの導入により差がなくなってきたが、A〜Cについてはまだ不十分である。冠動脈血行再建法として、PCIかCABGか?は古くて新しい問題であり、時代と共に変遷し、PCIの適応が拡大されながら今日に至っている。DES時代になり多枝、多病変でもPCI不適病変でなければPCIが選択され、LMT病変に対してまでもPCIを施行している施設が少なくないのが現状であるが、5-10年の長期予後はどうなのか答えはまだ出ていない。血行再建術を施行してそれで全てが解決した訳ではない。長期的な心血管イベント予防のためは、内科医として、スタチンを中心とした強力な脂質低下療法によるLDL低下、高血圧の厳格なコントロール、適切な硝酸薬の使用、耐糖能異常例に対するピオグリタゾンの積極的な使用など術後長期にわたる適切な薬物療法が極めて重要と考える。 |
| DES時代における冠血行再建術の選択 〜外科医の立場から〜
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| 榊原記念病院 心臓血管外科 高梨 秀一郎 先生 |
CABGは突然死の可能性が高い3枝病変やLMT、低心機能症例を対象とし、心事故に対する予防的効果が大きい治療である。これに対しDESはBMSより再狭窄率を有意に下げるが病変部を直接矯正することを目的とした治療であることに変わりはなく、生命予後の改善と心筋梗塞の2次予防という点ではその有用性は未だ明らかではない。血管造影上はなんら病変のないようにみえる冠動脈が実はびまん性病変を含んでいることは我々外科医がよく経験することである。手術であればこのような潜在的な狭窄病変部位に吻合することはなく、ここを超えた健常部に吻合するか、あるいは切開を健常部位まで延長しonlay patch graftingとする。これが心筋梗塞の二次予防につながり末梢側への血行確保だけでなく、onlay patch graftingであればその途中の主要分枝への血行再建も可能となり、このことが左心機能の改善をもたらし、また生命予後を改善する。
PCIかCABGのどちらを選択するのかは冠動脈病変の部位、枝数、左心機能、併存疾患などから総合的に判断されるが、あくまで治療の選択は患者を診察した内科医にある。PCIあるいはCABGかを決定する際にはそれぞれの利点と欠点を考慮した上で、今必要な治療はどちらかという時間軸をも意識した専門家としての判断が求められる。
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