硝酸薬を持続投与した場合に一部の作用が減弱することが報告されており、これを“硝酸薬耐性”と呼んでいます。
●現在までに報告されている硝酸薬耐性についてまとめてみますと、
- 硝酸薬持続投与により、血圧と心拍数に対しては早期から耐性が出現するとされているが、抗狭心症作用は維持されるとも報告されています( Danahy
D.T., et al: Circulation 1977; 56(2): 205-212)
- 硝酸薬持続投与により持続的に硝酸薬の血中濃度が維持できても、運動耐容量を指標とすると減弱することが認められるが、狭心症発作回数を指標にすると持続的に効果が認められるとする報告もあります。(
S. Silber: Dtsch. Med . Wschr 翻訳版1984; 109: 1124-1132)
- 硝酸薬の耐性(tolerance)は部分耐性であり、急激に血中濃度を上昇させる舌下投与を追加すると効果が得られる点から、抗生物質などの耐性(resistance)とは異なります。(
住吉徹哉ほか: 治療学1990; 24(4): 479-482)
- 硝酸薬耐性の発現機序はいまだ解明されていませんが、次のいくつかの機序が関連して発現すると考えられています。
- スルフヒドリル(SH)基の枯渇
- 反射性の神経ホルモン活性化
- 血管内容量の拡大による循環血液量の増加
- 活性酸素の増加と血管内皮機能障害
- 欧米においては、硝酸薬耐性の予防として8〜12時間硝酸薬との接触を中止する「休薬時間」を設定して投与する間歇投与法が推奨されており、耐性が生じた場合でも硝酸薬の効果が復活するとされています。(
Mangione N. J., et al: American Heart J 1994; 128: 137-146)
- 現在、日本で使用されている硝酸薬はニトログリセリン、硝酸イソソルビド(ISDN)、一硝酸イソソルビド(ISMN)の3成分があります。剤型も注射剤・舌下錠・舌下スプレー剤、普通錠、徐放錠、経皮吸収剤等が発売されていますが、硝酸薬耐性には成分や剤型、投与量、投与方法によっても差があることが報告されています。(
Muller S, et al: J. Am. Coll. Cardiol. 2003; 41: 1994-2000)
●硝酸薬テープの貼付スケジュールは、患者さま個々の病態や症状を考慮して処方されています。患者さまの判断で貼付方法を変更せずに、いつもと違う症状に気付いたら主治医の先生にご相談して下さい。