ハートのコラム 第8回 薬物の体内での動き

ハートちゃん

薬物を投与すると体内の血中濃度(血液中に含まれる薬物量)は上昇し、時間が経てば下がります。薬物を投与したとき、薬物は吸収、分布、代謝、排泄という過程を経ます。薬物の動態は、 この吸収(Absorption)、分布(Distribution)、代謝(Metabolism)、排泄(Excretion)の頭文字をとってADME(アドメ)と表現します。
薬物動態で最も重要なのは血中濃度です。口から服用した薬物は腸から吸収され、血流に乗って全身を巡り、血中濃度が上昇します。その後、代謝・排泄によって徐々に血液中から消失し血中濃度は下がります。代謝・排泄の速度が速ければ、その分だけ血液中に存在する薬物の濃度は素早く消失します。速度が遅ければ血中濃度はなかなか下がりません。薬物の体内での代謝・排泄の速度が血中濃度に大きく影響します。
吸収:血中濃度を考える場合、薬物が体内に吸収される必要があります。口から薬物を服用した場合、その多くは腸から吸収されます。薬物動態では、薬物が腸からどのように吸収されるかという過程が重要です。試験管で作用の強かった薬物でも、体内に吸収されなければ薬として作用しません。作用の強い薬物を創出しても、吸収が悪かったため動物実験では作用が弱かったという例はしばしばあります。
分布:薬物が体内に吸収されても、適切に効果を発現するとは限りません。薬物が体内に入った後、目的の臓器に到達して一定量分布する必要があるからです。例えば、肺がんの治療薬は、肺に到達・分布させなければ治療できません。
代謝:薬物は体にとって異物で、体内に入った場合は代謝を受けます。薬としての作用を活性といいますが、代謝はこの薬物の活性をなくすので、薬物の不活性化を行うと表現します。薬物は主に酵素により代謝されます。重要な酵素としてシトクロムP450(CYP450)があり、ほとんどの薬物代謝に関わっているもので、肝臓に多く存在します。
排泄:薬物を体外に出す過程を排泄と呼びます。この排泄過程には主に腎臓が関与しています。腎臓は尿を作ることで老廃物を体外へ排出しますが、体内に入った薬物も尿と共に排泄されます。