ハートのコラム 第10回 DDSの応用例経皮吸収製剤

ハートちゃん

DDS(Drug Delivery System)が、必要な薬物を必要な時間に必要な部位で作用させるためのシステムであることは、ハートのコラム第9回で紹介しました。このDDSの応用例の一つとして経皮吸収製剤があります。経皮吸収型製剤は貼付薬(いわゆる貼り薬)とも呼ばれ、大きく分けて二つのタイプがあります。
タイプ1.貼った場所(局所)に作用を示すもの
湿布薬等、貼った場所だけに作用し、その部分の痛みや炎症を和らげてくれる製剤です。
タイプ2.貼った場所から全身に作用を示すもの
貼った場所の皮膚表面から薬効成分を吸収させて血流に乗せ、全身や体内の特定部位を治療できるよう製剤設計された製剤です。
ここではタイプ2の全身用の経皮吸収型製剤について紹介します。薬効成分を皮膚から吸収させる製剤のメリットは、薬効成分の量(有効血中濃度)を一定に保てるということが挙げられます。
飲み薬の場合、薬効成分が消化管から体内に吸収されて血中に移行する過程で、肝臓による代謝を受けます。これを専門用語で初回通過効果(first-pass effect)と呼んでいます。薬効成分は体内を巡って標的部位に到達する間にも代謝を受けたり、途中で排泄されたりもします。これらの影響で治療効果にバラツキが生じやすくなります。
全身作用の経皮吸収製剤の場合、薬効成分を持続的にに皮膚から吸収させることにより、血中濃度を一定に保つことができます。そのため、飲み薬に比べ、服用後間もなくの血中濃度が高い時間帯と、服用後一定時間が経過した血中濃度の低い時間帯の血中濃度の差を小さくすることができるようになります。経皮吸収型製剤は、肝臓による初回通過効果を回避でき、血中濃度を一定に推移させることができる優れた製剤として各社が開発にしのぎを削っています。
一方で、皮膚に貼って用いる製剤であるため、その開発には、薬効成分を安定的に吸収させられるかどうかという問題に加え、皮膚刺激(皮膚の炎症や痒み等)の問題もクリアしなければなりません。このため開発が非常に難しい製剤でもあります。
当社では長年蓄積した経皮吸収型製剤のノウハウを活かし、継続して経皮吸収型製剤の開発に邁進しています。