PTでは、製剤を設計するうえでどのような添加剤、形態、製造方法を選択するかという検討を行います。この選択は原薬(有効成分)によって変わってきますので、まず原薬の特性を把握することから行います。設計後の製剤については、有効成分の溶けやすさや含量、錠剤の見た目や硬さなどといった品質の安定性が、製造直後だけでなく、想定される使用期間内で維持されているかどうかについても検証しており、PTでの業務は非常に重要な役割を担っています。製剤設計後は、臨床試験に使用される治験薬の製造、製造販売承認申請のための試験の実施、申請資料の作成、生産部への製造技術移管といった業務に他部署と連携しながら関わっていきます。
このようにPTは、製剤の初期設計から生産までを見据えた連動性のある施設となっております。
患者さんの服薬アドヒアランスの改善や医療従事者の方の取り扱いやすさといった観点からの付加価値を加えるには、実際に医療現場等で求められているニーズを把握しておく必要があります。ニーズに合致しなければ、付加価値どころか市場から排除されることになってしまうからです。現場のニーズを把握し、技術的に達成可能かどうか製剤設計の段階から検討していきます。
改善の一例として、メトホルミン塩酸塩錠では服用時に原薬に由来する不快な味が問題となることから、口腔内で原薬が溶け出さないようにフィルムコーティングを施した製剤としました。
また、ピモベンダン錠では有効成分が水に溶けにくい薬物であることから、服用後の溶解性を改善させるための成分を配合し、良好な吸収性が得られるように設計しています。さらに、この品質を維持するために最適化された製造方法と組み合わせることにより、PTP包装から取り出した状態での調剤や1回服用分ずつフィルムで包装した1包化調剤にも適応できる、安定性のよい錠剤とすることができました。
錠剤に限らず、価値ある製品を一つでも多く社会に送り出して医療に貢献すること、また、日々進歩している製剤技術を取り入れて、将来の基盤となる技術を確立していくことが課題であり目標でもあります。
製剤設計の段階で、従来の添加剤や製造方法の適用される範囲に限定せず、固定概念にとらわれない発想は新しい製剤(付加価値)を創出する上で重要です。そのためには、一人ひとりが主体的に製剤化する上での課題に取り組み、新しい発想を取り入れながら検討することができる環境づくりが必要だと考えています。
今後も熱い情熱と冷静な思考で作りあげた価値ある製品を皆さまにお届け致します!