■ビソノ®テープ、フランドル®テープを使用されている方へ
経皮吸収型製剤(貼るタイプの薬)を使用することにより、皮膚症状が発生することがあります。
万が一これらの症状が出てしまっても、適切な治療をすることで軽減・消失させることができ、経皮吸収型製剤を使用し続けることが可能になります。
このページで紹介する使い方のポイントをおさえて発症する前に経皮吸収型製剤を貼る部位を十分に保湿しておけば、困った皮膚症状を予防できます。
皮膚のバリア機能を高めるには、“皮膚の保湿”が大切です。水分保有力の高い保湿剤を用いたスキンケアを徹底することで皮膚症状の発生を抑え、経皮吸収型製剤の有効性を最大限に活かしましょう。
貼って効く薬のしくみ |
貼るタイプの薬の特徴 |
使い方のポイント 貼るとき 貼っているとき 剥がすとき 剥がしたあと |
もし、こんな症状が起きてしまったら… |
予防のスキンケア 洗浄・清潔 保湿 スキンケア・サイクル |
薬には飲んだり注射をするのと同様、皮膚に貼ることで効果を発揮する経皮吸収型製剤※があります。貼るタイプの薬(経皮吸収型製剤)には、主に貼った部位を治療するタイプと、薬物が貼った部位から吸収され全身を巡り治療するタイプがあります。
全身を巡るタイプの薬物は、皮膚に貼ったところから、表皮の間や毛穴や汗腺などを通って皮膚に入り毛細血管から取り込まれ、全身を循環しながら患部に働きかけます。
この薬を正しく安全に使用するためには、皮膚の状態を健やかに保つスキンケアが大切です。
貼るタイプの薬の吸収のされ方
■貼った部位の皮膚から薬物が取り込まれる。
■使用直後における肝臓や小腸での分解や代謝を避けることができる。
■血中の薬物濃度は、貼ってからゆっくり上昇し、かつ長時間一定濃度を保つので効果が持続する。
■貼っているのを見て判断できるので、薬の服用し忘れを防止でき、第三者でも使用しているか判別できる。
■薬を飲み込みにくい患者さんでも使用しやすい。
■貼った部位の皮膚に赤みやかぶれなどの症状が出ることがある。
■汚れや異物があると、薬の成分の浸透を妨げたり、皮膚がかぶれたりする原因になります。
■汗などで濡れていると剥がれやすくなります。清潔なタオルでやさしく拭いてください。
■同じ部位に貼り続けると、角質などが剥がれてかぶれなどが起こりやすくなります。
■皮膚に貼ったら、手のひらで薬の上からギュギュっと肌になじむようにしっかり押さえましょう。
接着面にはなるべく触れないように注意しましょう。
■薬を貼っていると、貼っている部位やその周りの皮膚に赤みが出ることがあります。これは、主に、皮膚への刺激による皮膚の毛細血管が拡張することで起こる作用です。
■剥がすときは、端をめくり、皮膚が伸びないようにやさしく、ゆっくりと剥がしてください。
■剥がしている最中、痛みがひどくなったりしたら無理に剥がさず、温めたり、湿らせたりして発汗をうながすと剥がしやすくなります。
■入浴時やシャワー使用時は剥がしやすくなります。
貼るタイプの薬(経皮吸収型製剤)を剥がしたあと、粘着剤などが皮膚や衣類に残らないようきれいに取り除きましょう。
■ベビーオイルやオリーブオイル、消毒用アルコール※を使うと容易に取り除くことができます。しかし、あまり強くこすりすぎることは良くありません。
※粘着剤を分解する働きがあります。
※アルコールに過敏な方は、皮膚を刺激することでかぶれ等が起こることがありますので使用しないでください。
貼るタイプの薬(経皮吸収型製剤)は皮膚を覆うため、接触した部分に以下のような症状を起こす場合があります。これらは、貼るタイプの薬を“外からの刺激”として感知し、体内に伝達されることで引き起こされる場合がほとんどです。
貼るタイプの薬(経皮吸収型製剤)により起こる可能性のある赤みやかゆみなどの皮膚症状は、日常のスキンケアで予防することができます。そのためのスキンケアは、具体的にはどうしたら良いのでしょうか。
①皮膚を傷つけないようにやさしく洗いましょう。②洗浄のために使った石けんの泡もしっかり洗い流します。③なお、洗いすぎには気をつけましょう。
皮膚が乾燥した状態はアレルゲンや細菌が入り込みやすく、赤みなどの皮膚症状を引き起こす可能性が高くなります。乾燥した皮膚は、貼るタイプの薬(経皮吸収型製剤)に対して、かぶれやすくなります。皮膚を乾燥から守るため、保湿剤を用いて皮膚を保護しましょう。
■入浴後か、入浴していない場合は濡れたタオルで皮膚をやさしく湿らせたあとに保湿剤をぬる(水分を閉じ込める)。この場合、決してこすらず、やさしく伸ばすようにぬる。
■1日に2回保湿剤をぬることで保湿効果を高める。(貼るタイプの薬使用中は、貼る領域全体に保湿剤をぬる)
保湿効果のある保湿剤には様々な種類があります。ぬる部位や年齢などによって使い分けが必要なこともありますので、医師や薬剤師に相談し、適切な保湿剤を使用してください。
貼るタイプの薬(経皮吸収型製剤)を使用中は日常のスキンケアで皮膚を保湿された状態に保ち、皮膚のバリア機能を高めましょう。
薬の使用や皮膚症状については自己判断をせず、医師や薬剤師の指示に従い、正しく対処してください。